Ryzen 9 7900X+RTX 4070で組む白い自作PC【映像クリエイターの友人用】
今回は友人の映像クリエイターの方が新しいPCを必要とのことで、パーツ選定から組み立てまでをさせていただき、許可をいただき記事にしています。
動画制作時にAdobeの有料ソフトが「あまりにも動作が重い」ということで、それらを快適に動かせて予算30万円程度というご依頼でした。
使用したパーツ
今のタイミングでは、Intelの13・14世代や最新のCore Ultraはまだ信頼性が十分ではないと判断し「AMD Ryzen 7000番台」で組むことにしました。
GPU(グラフィックカード)はコストと性能のバランスの良い「GeForce RTX 4070」を選択し、ケースは白くて静音なCooler Master Silencio S400です。
CPU
AMD Ryzen 9 7900X
世代は少し古いものの性能面では抜群に良く、2025年でもコストパフォーマンスも高いモデルです。
9900Xもありだったのですが、タイミング的にちょうどいい出品が無く、性能と価格のバランスから7900Xとなりました。
Adobe AffterEfectsの利用頻度が高いそうなので、CPUは特にスペック重視で選んでいます。(ゲーム用途ならRyzen 7でも十分)
マザーボード
MSI B650M GAMING PLUS WiFi
MSI B650M GAMING PLUS WiFiはMicroATXマザーボード(ソケットAM5:Ryzen 8000G/7000・BIOSアップデートで9000シリーズにも対応)でコスパが良いです。
上位モデルでは無いですが、電源フェーズ周りの冷却などもしっかりしており、安心感のあるマザーボードです。
CPUクーラー
SCYTHE MUGEN6 BLACK EDITON
簡易空冷も考えましたが、Ryzen 9 7900Xなら最強クラスの空冷ならギリギリ大丈夫そうでしたので、耐久性の観点からもこちらを選択。
※ケースサイズの兼ね合いで360mm簡易水冷が取り付けられないという都合もありました。
メモリ
Crucial 32GBX2枚 DDR5-5600 (Micron)
メモリは安定性重視のクルーシャル。容量はAdobe製品に合わせて余裕をもっての64GBとしています。Adobeはとにかくメモリを食いますね。
SSD(M.2)
Samsung 990 PRO 2TB PCIe Gen 4.0 x4
SSDは速度と安定性の観点で、Samsung 990 PROを選びました。動画制作のため2TBの容量を選択。(これまで1TBでも問題なかったとのこと)
GPU(グラフィックカード)
MSI GeForce RTX 4070 VENTUS 2X E1 12G OC
在庫が安定しないMSIのRTX4070はバランスの良いスペックと価格設定。ゲーム用途はもちろん、動画編集用としても十分な性能です。
電源
CORSAIR RM850e 2023モデル
電源容量はR9 7900XとRTX4070だと比較的余裕のある850Wを選択。CPUやグラボのアップグレードにも対応可能です。GOLD認証のフルモジュラー式です。
ケース
Cooler Master Silencio S400 White Steel
白い静音PCという要望があったためこちらのモデルを選びました。デザインや作りが良く、ファンも2つ付いています。(DC制御)
組み立て
マザーボードにCPUを取り付け
AM5からはマザーボード側にピンがあり、CPU側にあった依然のピン折れなどを心配しなくてよくなりましたが、それでもCPU取り付けは一番緊張します。
ソケットカバーを開いて、左上の矢印をマザーボードとCPUどちらも合わせて置きます。そして取り付けブラケットが結構硬くて怖いです。
メモリの取り付け
メモリはDDR5規格で、マザーボードにもどこにつけるのが正解かが書かれていて親切です。(DIMMA2がFIRSRTと記載)
片ラッチなので上から押しこむだけでOK。細かいことは省略しますが、2枚(デュアルチャネル)で使うのが基本ですね。
SSDの取り付け
使うSSDはSamsung 990 PROというハイエンドモデル。取り付けはとても簡単で、ヒートシンクを外して裏にあるフィルムを剝がします。(忘れがち)
切り欠きを合わせて斜めに差し込み、マザーボードの回転する取り付け具でロックすればOK。ヒートシンクを付け直して終了。
CPUクーラーの取り付け
正直、とりあえずBIOSだけ見たいなら無くても大丈夫(上に置くだけでもOK)ではありますが、一応依頼されたPCなので確実に組んでいきます。
SCYTHE MUGEN 6はサイドフローの空冷タイプで、空冷としては最強クラス。デュアルファンで6本のヒートパイプ搭載です。
取り付けはAMDはもともとのバックパネルを使うこともあり比較的簡単ですね。非常に大きくて重いのですが、メモリへの干渉を避ける構造で高さも154mmと扱いやすさも魅力です。
ヒートスプレッダーの保護フィルムを剥がすのを忘れないように注意です。グリスは適量を塗ります。今回はMX4を使用しました。定番ですね。
また、長いドライバーが付属していて、ヒートシンクの中央付近の穴を通って下のビスを締めることができます。このドライバー1本で他の箇所も組めるので親切です。
左右を徐々に締めていき、一度締め終わってマザーボードの向きが変わった後(ケースを起てたり)には再度増し締めするのが良いです。
1.2kgくらい重量のあるクーラーなので、しっかりと取り付けるのは重要です。(締めすぎてネジをなめないように)
ファンは取り付け方向に注意が必要で、ファン上面にある矢印を右から左に合うように左右を取り付けないといけません。(右側がファンの表面、左側がファンの裏面が見えるように取り付ける)
ファンは分岐ケーブルが入っているので、これを使いCPUファンのピンに取り付けます。
GPUの取り付け
MSI GEFORCE RTX 4070 VENTUS 12GBです。補助電源は8ピンのみです。
簡易的にマザーボードの外箱を台にして取り付けました。
電源の取り付け
マザーボード用24ピン、CPU用8ピン×2、グラボ用8ピンだけを使いました。
この状態で動作を確認しました。もちろんケースに最初から入れていっても問題無いです。
私は確実な動作をまずチェックしたかったため簡易的な組み立てでテストしています。※電源ONのために手持ちのリセットスイッチを使いました。
ケースへ取り付け
電源を取り外し、マザーボードをケースに付けます。バックパネル一体型なのでここから合わせて行きます。
土台となるボルト位置は最初から付いていた場所で間違いなかったです。
電源ボタンやLEDなどのピンは一番難易度が高く、細かい作業になります。マザーボードの説明書にわかりやすく記載があります。
ファンコネクタもグラボを付けてしまうと使えなくなる部分がでてきたりします。(これはケースのせいではなくてCPUクーラーなどどの兼ね合い)
背面の配線はケーブル長的に結構すっきり収まったと思います。
このコルセアの電源はタワー型の大きなケースでATXマザーボードなどと合わせるとケーブル長がちょっと心配になる感じです。Micro ATXサイズにはピッタリです。
付属のファンは3ピンのDC制御のものでしたが、それほど悪いものではなかったですが、結局PWM制御のファンを前面×2・背面×1に交換しました。
今回は静音性重視でしたが、冷却性能を重視するなら天面を付属のメッシュに交換し、2つのファンを追加可能です。
Ryzen 9 7900Xの実力
今回空冷最強のCPUクーラーを搭載してみました。おそらくこれ以上の冷却性能が必要なら360mm以上の簡易水冷が必要になるでしょう。
ベンチマークテスト
CPUとGPU性能がしっかり発揮できているか、いくつかのベンチマークテストを実行しストレステストも行いました。
CINEBENCH R23(CPU性能)
CINEBENCH R23はマルチスコアの性能は30000pts弱でRyzen 9 7900Xとして十分な性能を出せています。
シングルスレッド性能も約2000ptsと、他のベンチ結果と同等の数値が出ました。シングル性能の高さは多くのアプリケーションで体感しやすいです。
CINEBENCH R23(10分間)
CINEBENCH R23で10分間CPU全コアに100%の負荷をかけると、95℃の上限温度※に達しましたがスコアはほぼ落ちませんでした。
※Ryzen 7000シリーズではCPU性能を最大限に発揮するために高負荷時にCPU温度が95℃を超えない範囲で動作クロックを引き上げる使用になっている。
Ryzen 9 7900X+最強空冷構成で最高性能を引き出せています。(※あまりにも冷却性能が足りないとベンチマークスコアが下がっていく)
また、実作業でここまでCPUに負荷をかけ続けることは稀なため、静音性と性能のバランス的にもいい具合だと感じますね。
ケースファンは合計3つ取り付けて最大2000rpmくらいに設定しました。
CINEBENCH 2024(CPU・GPU性能)
比較的新しいベンチマークテストのCINEBENCH 2024(10分間のストレステスト)のスコアは他サイトの同製品と同じレベルの数値がでていました。
このベンチマークではマルチコアでも、CPU温度は80℃台で安定していました。
GPUスペックも他サイトの結果に近いレベルを発揮してくれています。GPUについてはApple M3 Maxなどを上回るので、流石はRTX4070といったところ。
GeekBench 6(主にGPU性能)
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Vulkanのスコア |
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OpenCLのスコア |
GPU性能を多角的に計測できるGeekBench 6のスコアはVulkan・OpenCL共に他のRTX4070のデータと近い性能を引き出せていました。
今回のCPUであるRyzen 7900XでRTX4070の性能は十分に発揮されています。動作音もほとんど気にならないです。
CrystalDiskMark(ストレージ速度)
ストレージの転送速度を測る定番ベンチマークのCrystalDiskMarkの結果、シーケンシャルリードで7400MB/sを超えており、シーケンシャルライトも7000近いです。(ほぼ公称値でPCIe 4.0の最大速度に近い)
Samsung 990 PROはランダムのリードとライトも980 PROよりも50%くらい早くなっているらしいです。
実際の作業やソフトのインストールも圧倒的に速いですね。(私のメインPCの2倍くらいのスペックです…)
まとめ
映像クリエイターの友人用に白い自作PCを組ませていただきました。(※今回の構成でトータル30万円近いパーツを扱うのは緊張しました)
自作すればBTOよりも若干安くなったり、自分の思い通りの外観やスペックにできるのが魅力です。(初回でいきなり自作はおすすめできませんが)
CPUとGPUの各ベンチマークも測定させていただき、それぞれで安定動作することも分かり安心しました。(自作の怖さはほぼ自己責任なところ)
あとは本番環境にてAdobe AffterEfectsをインストールして実際に作業してもらいフィードバックしていただく予定です。
今回使用した製品(Amazonリンク)
CPU:AMD CPU Ryzen 9 7900X 12コア24スレッド
CPUクーラー:SCYTHE MUGEN6 BLACK EDITION
マザーボード:MSI B650M GAMING PLUS WIFI
メモリ:Crucial PRO (マイクロン製) メモリ DDR5-5600
ストレージ:Samsung 990 PRO 2TB PCIe Gen 4.0x4
GPU:MSI GeForce RTX 4070 VENTUS 2X E1 12G OC
電源:CORSAIR RM850e PCIE5.0対応 80PLUS Gold認証
今回購入時点で価格も販売元も良い物を選びましたが、在庫状況などで価格も変動しています。
この構成でOS込みで30万円を結構下回る金額だったので、なかなかにコストパフォーマンスの高いマシンができたと思います。