iPhoneからWindowsへの大容量データ転送・同期の方法【共有ストレージ設定方法など】
iPhoneとMac間での大容量データ転送は、Airdropなどで簡単高速にやりとりが可能です。ただ、今回は「Windows⇔iPhone」の場合を考えます。
方法はいくつもあってそれぞれ解説しますが、特に「共有ストレージ」を使った方法を細かく解説します。
Windows PCからiPhoneへのデータ転送(&同期)方法
- クラウドストレージ(iCloud等)を使う
- メールやメッセージアプリで送る
- 有線で繋ぐ(iTunes等利用)
- Wi-Fi経由でシェアする
基本的なデータ転送方法は上記のような種類があります。
クラウドストレージを使う方法
一番楽なのはiCloudやGoogleDriveなどのクラウドストレージを使うことです。これはWindowsでもiPhone、AndroidなどほとんどのOSを縦断できる方法でもあります。
クラウドストレージのメリット
- クラウド上でのバックアップにもなる
- ファイルの共有が簡単
- 端末のOSに左右されない
クラウドストレージのデメリット
- セキュリティ上の懸念
- インターネット接続が必要
- 大容量データの場合は課金が必要
どのクラウドサービスも「無料で5~15GB程度」は容量があるので、ほどんどの場合何かのクラウドストレージを利用されているでしょう。
容量の問題が生じた場合、AppleやGoogleに課金するのもアリです。(月額200円前後で50~100GB)
- iCloud:無料(5GB)/有料 月額130円(50GB)~
- Google Drive:無料(15GB)/有料 月額250円(100GB)~
- OneDrive:無料(5GB)/有料 月額260円(100GB)~
- Dropbox:無料(2GB)/有料 月額1,200円(2TB)~
画像・動画だけの保存の場合
画像や動画については、各クラウドストレージの容量を使って保存していく方法や、そのほかのサービスも使えます。
- iCloud写真
- Googleフォト
- OneDrive
- Amazon Photos(プライム会員限定)
この場合も、無料で使える容量を超えた場合は有料プランに加入するなどして容量を増やすことができます。
アプリを使う方法
Documents
Documentsアプリを使うと、iPhoneやiPadとWindows PCとオンラインでのやりとりが可能です。
ただし、iPhone側で「Documents」専用フォルダを利用する必要があります。(Apple純正のファイルアプリ上では共有できないみたい)
Windowsと接続するために毎回パスコードかQRコードでの接続が必要になるのも、少々面倒に感じるポイントです。たまにしか使わないなら良いアプリですね。
メール等を利用する方法
メールやメッセージアプリにデータを添付して、自分自身に送ることでデータ転送が可能です。
メール転送のメリット
- 送受信自体は手軽で簡単
- メールボックスにもデータが残る
メール転送のデメリット
- メールでは送信できるファイルサイズ制限がある
- セキュリティリスクが若干ある
容量制限
- Gmail:最大25MB
- iCloudメール:最大20MB
- Outlook:最大20MB
- LINE:1GB※
LINEでのデータ転送は調べた限り1GB、動画は5分以内というルールでした。LINEのKeepメモに張り付けて各端末でダウンロードする方法です。
有線接続する方法
有線接続のメリット
- 大容量ファイルでも高速なデータ転送が可能
- 無線接続よりも信頼性が高くデータの安定した転送が可能
- データのセキュリティを確保しやすい
有線接続のデメリット
- コードやケーブルが必要なため移動範囲が制限される
- 設備や配線に手間がかかる
- 互換性の問題が生じる可能性がある
データ転送に対応するケーブル
データ転送が可能なケーブルを使わないとダメだったり(=充電専用ケーブルも売っている)ライトニング端子はUSB2.0(最大480Mb/s=60MB/s)の速度が限界です。
■RAVIAD ライトニング ケーブル データ転送【MFi 認証】(Amazon)
iPhone 15 Pro/Pro MaxはUSB-C USB3.2 Gen 2(最大10Gb/s=1250MB/s)が最大速度です。この速度で転送するには対応するケーブルと機器が必要です。
■RAMPOW USB-C ケーブル【PD 100W 20Gbpsデータ転送】(Amazon)
Wi-Fi経由の共有(共有ストレージ)を用いる方法
Windows PCを使ってファイルを家のWi-Fi環境下で共有する方法があります。今回メインで取り上げたい方法です。
Wi-Fiの速度に依存しますが、速いと数百Mb/s~1Gb/s(1Gb/s=125MB/s)くらいの速度が出ます。
以下がWindows PCとiPhone・iPadで共有ストレージを使うメリットとデメリットです。
メリット
- 月額無料で大容量のデータ共有ができる(使う機器のストレージ容量に依存)
- 共有スピードはWi-Fi速度依存でクラウドストレージより快適
- クラウドストレージの容量を使わず無駄な同期が無い
- WindowsとiPhoneの標準ファイルアプリを使える
デメリット
- クラウドストレージと違ってアクセスできるのは同じネットワーク内のみ
- 最初の設定が面倒で癖がある
- 母体となるWindows PCが稼働していないとアクセスできない
大きなメリットは、転送速度と容量です。家の中でWi-Fiを使っての直接転送となるので、環境にもよりますが十分な速さが出ます。
また、PCの容量が十分にあればクラウドストレージでは高額になるような大容量なストレージも初期費用だけです。(PCによっては追加も可能)
ただし、最初の設定が面倒だったり、母体のPCが動いていないと共有できないなどのデメリットを考えると、中級者以上におすすめな手法と言えます。
無料のクラウドストレージに写真や文書などの軽いファイルをアップロードしておき、大容量ファイルは共有ストレージを使ってWindows PCに取り込んで保存します。(※長い動画等は、非公開でYoutubeにアップロードしておくなどの方法もあります)
WindowsではなくLinux(NASなど)を用いて24時間稼働させるホームサーバー等もあります。(詳細情報はネット上にたくさんあり)
ただ、そこまでの本格的な機器を使わなくても、今回の方法で十分な容量のデータ共有を高速で行えます。
※そうは言っても結構面倒なので、手軽にどこでも共有したいならクラウドストレージに課金するのが良いかなと思います。
共有ストレージの設定方法
ここからiPhoneとWindowsを同一ネットワークに接続し、Windowsでのファイル共有の準備を行い、iPhoneのファイルアプリからSMB接続をしてデータを共有する手順です。
まずはWindows側でローカルアカウントを作成します。microsoftアカウント(…@outlook.jp)にログイン状態だと共有ファイルにアクセスできません。(2024年3月調べ)
以下、Windows 11での操作方法となります。ちなみにスマホはiPhone SE2です。
※ローカルアカウントだけでWindows PCを使っている場合、アカウントと共有フォルダの設定は不要で、iPhone側での作業で済みます。
ローカルアカウントの作成(Windows PC)
- 「設定」から「アカウント」を開きます。
- 「他のユーザー」をクリックします。
- 「アカウントの追加」を選択します。
- 「ユーザーのサインイン情報がありません」を選択。
- 「Microsoftアカウントを持たないユーザーを追加する」を選択。
- 「ユーザー名」と「パスワード」を設定します。(※iPhone側で使用します)
- 「セキュリティの質問」も設定します。
- これで新しいローカルアカウントが作成されました。
注意点・ポイント
- わかりやすいユーザー名をつける
- パスワードもしっかり記録する
共有フォルダを作成する(Windows PC側)
ローカルアカウントを作った状態で、ファイルも共有できるように設定します。(普段のMicrosoftアカウントでログインしている状態で操作)
Windowsで共有フォルダを作成する方法は以下の手順です。
- 共有したいフォルダを選択して名前を「share」などにしておく
- フォルダを右クリックし「プロパティ」を選択
- 「共有」タブをクリック
- 「詳細な共有」を選択
- 共有する相手を選択「Everyone」ではなく作成したローカルアカウントを利用
- 「Everyone」を削除し「選択するオブジェクト名」にユーザー名を入力
- 「セキュリティ」「編集」「追加」「オブジェクト名」を入力して確認
- 追加したアカウントに「フルコントロール」にチェック
「Everyone」で共有すると、ネットワークに接続できれば誰でもそのフォルダにアクセスできるようになるため、最悪の場合、意図しない第三者に情報漏洩等の可能性があります。セキュリティを重視する場合「Everyone」を使用せず、必要なユーザー(今回は作成したローカルアカウント)のみにアクセス許可を与えるのが良いでしょう。
iPhone側の設定
iPnone側では標準の「ファイル」アプリ右上の「…」から「サーバーへ接続」を選択します。
サーバーへ接続方法
サーバー欄には「smb://192.168.xx.xx」と記載します。
※Windows「設定」→「ネットワークとインターネット」→「Wi-Fi or イーサネット」→「現在繋がっているネットのプロパティ」→IPv4 アドレス:「192.168.xx.xx」= この値を入力します
登録ユーザの記載方法
- 名前:ローカルアカウントのアカウント名
- パスワード:ローカルアカウント作成時に設定したパスワード
これでiPhoneからWindows上のファイルに直接アクセス可能です。この際に、ローカルアカウントのファイルはすべて閲覧することが可能です。
実際には普段のMicrosoftアカウント上で作った共有フォルダ(今回はフォルダ名「share」)を利用して重いファイルなども同期できます。
共有できる条件
- 家の中のネットワーク内のみ
- 共有したファイルのみ
- 設定したWindows PCが稼働している必要あり
上記の条件が揃っているなら、大容量のデータをやり取りしたい場合に役立ちます。
特定のファイル/フォルダを家族間などでも共有できるのも便利かもしれません。(ITに強めなご家庭なら…)
サードパーティアプリを用いた方法もありますが、WindowsとiPhoneの標準ファイルアプリを使えるのも利点です。
もっと速度を求めるなら有線になります。また、本格的にやるなら別PC(サーバー)を用意してNASを構築してしまう方もおられます。(24時間稼働させてどの端末からも常にアクセスできる大容量のデータストレージ)
※それほどのデータを扱わない場合はクラウドサービスを使うのがシンプルに楽で、どこからもアクセスできるメリットもあります
まとめ
iPhoneとWindows間でのデータ転送・同期の方法をまとめてみました。
- クラウドストレージ(iCloud等)
- メールやメッセージアプリ
- 有線接続(対応ケーブルが必要)
- Wi-Fi経由の共有ストレージ
Wi-Fi経由の共有ストレージは、ちょっと難しい設定が出てくるので中級~上級者向けです。
他の方法も使いながら、iPhoneとWindows PCとのデータ共有をスムーズに行っていくと作業の効率が上がります。
ぜひ、扱いやすい方法で試してみてくださいね。最後までお読みいただきありがとうございました。