M2 Mac miniを自作PCで超えるためのコスパ重視の構成
自作Windows PCで対抗する第二弾です。前回はM1チップに勝つために第10世代Intelで勝負しました。
今回は…M2 Mac miniに対抗するためにIntel第13世代で勝負です。
M2 Mac miniのコスパの高さが異常
Mac miniはM2チップ搭載モデルの最小構成で「84,800円」という破格。
M2 Mac miniとM2 MacBook Air(164,800円~)のCPUスペックは同等。(8コアCPUと10コアGPU搭載)
価格差は8万円つまりほぼ倍なのでディスプレイ、キーボード等がある前提なら圧倒的なコスパの高さです。
ただ、SSDを512GBに増量すると112,800円、ついでにメモリも16GBにしたら140,800円。んーこれはちょっと高いかな?
それならM2 Proモデルいいかもしれません。
M2 Pro搭載のMac miniは18万4800円~(16GBメモリ 512GBストレージ)
この価格もスペックを考えると圧倒的にコスパが良いです。
M2/M2 Proのスペックをチェック
最小構成での勝負がコスパ対決には良さそうなので、CPUとGPUのベンチマークスコアをチェックします。M1 Mac miniを参考として載せています。
M1 | M2 | M2 Pro | |
---|---|---|---|
Geekbench 5シングル | 約1,700 | 約1,900 | 約1,900 |
Geekbench 5マルチ | 約7,400 | 約9,000 | 約12,000 |
CineBench R23シングル | 約1,500 | 約1,700 | 約1,650 |
CineBench R23マルチ | 約7,500 | 約8,600 | 約14,800 |
Geekbench 5 Metal | 約20000 | 約30000 | 約53000 |
有名なベンチマークテストの結果を参照させていただきました。
数値だけだとよくわからないですが、これ相当スペック高いんですよね。
これらのスペックを超える構成を考えていきます。
参考:
https://browser.geekbench.com/mac-benchmarks
https://www.cpu-monkey.com/ja/cpu_benchmark-geekbench_5_single_core-13
https://www.cpu-monkey.com/ja/cpu_benchmark-geekbench_5_multi_core-14
M2 Mac miniの特徴や弱点
コンパクトかつハイスペック
Mac miniの強みは非常にコンパクトなサイズなのにスペックが高い点です。(3.58×19.7×19.7cm)
Windowsの自作PCではどうしてもサイズは大きくなりがちなので、この部分の勝負は厳しいですね。
一応最後にWindowsのミニPCでハイスペックモデルとも比較してみました。
外部モニター出力の制限がある
M2搭載のMac miniのThunderboltは2ポート。外部ディスプレイは6Kなら1台まで。Thunderbolt接続で5K、HDMIで4Kの2台までの接続に制限されているようです。
SSDは256GBだと速度が遅い
ストレージ用のNANDチップが1つだけしか搭載されておらず、2つ搭載されていた前モデルよりSSDが低速になります。
M2 Pro搭載MacBook Pro(512GB)もNANDチップが1つになっていて同様にちょっと速度が出ないとのこと。
ただし性能が低下したとしても、SSDの読み取り速度と書き込みは依然として非常に高速なので、この差が顕著に表れるのは極端なケースのみ
Windowsで同等以上のスペックを出すために
ここからはWindowsの自作PCでM2とM2 Proを打倒するためにどうするかを考えていきます。
CPU性能で勝負する
M2 | M2 Pro |
Core i3 -13100 |
Core i5 -13400 |
|
---|---|---|---|---|
Geekbench 5シングル | 約1,900 | 約1,900 | 約1,500 | 約1,650 |
Geekbench 5マルチ | 約9,000 | 約12,000 | 約5,800 | 約10,000 |
CineBench R23シングル | 約1,700 | 約1,650 | 約1,650 | 約1,800 |
CineBench R23マルチ | 約8,600 | 約14,800 | 約8,800 | 約16,000 |
※ AMD参考:Ryzen 5 7600 Geekbench 5 シングル 約2,000 マルチ 約11,000
GeekbenchはCPUとGPUの両方を含む全体的なパフォーマンスを測定し、CineBenchはCPU性能をメインで測っています。
M2チップに近い性能なのはCineBenchを基準で考えるとCore i3-13100あたりです。
シングルコアスコアもマルチコアスコアもM2を超えようと思うとCore i5-13400くらいが必要になりそうです。
i3とi5どちらも内臓GPUが無いF付きモデルもあり、GPUを搭載するならそちらでも良いですね。
グラフィック性能で勝負する
M2を超えるにはGeekbench 5
Metalスコア(グラフィック性能のベンチマークの一つ)
・30,000以上 OpenCL
27000以上
M2 Pro(19コア)を超えるなら
・53,000以上 OpenCL 45000以上
これらを満たすような性能を持った、市販のグラフィックボードなら以下のようなモデルが挙げられます。
Geekbench 5 Metal |
OpenCL | |
---|---|---|
Apple M2 | 約30000 | 約27000 |
Apple M2 Pro | 約53000 | 約45000 |
GTX 1650 | 38098 | |
GTX 1080 Ti | 30624 | 61295 |
GTX 1660 SUPER | 60578 | |
RX 5700 XT | 68311 | 81074 |
RTX 3060 | 95677 |
参考:
https://browser.geekbench.com/metal-benchmarks
https://browser.geekbench.com/opencl-benchmarks
「Metal」はAppleが開発したグラフィックスAPIで、MacOSやiOSなどのAppleのデバイス向けに最適化されたベンチマーク。
「OpenCL」はオープンソースのグラフィックスAPIで、多様なオペレーティングシステムやデバイスで使用することが可能。
Geekbenchの数値だけでグラフィック性能を図るのは難しく、他のベンチマーク結果もチェックしていくつか挙げてみました。
正直Macのグラフィック性能を比較するのってややこしいです。
確実にM2のスコアを超すにはNVIDIA GeForce GTX 1660 SUPERくらいの性能は欲しい感じでしょうか。
M2 Proを圧倒的に超えてどうせならゲーム用にする場合、RTX3060くらいが欲しくなります。
実際の構成例
Intelで組むなら第13世代のCPUは第12世代用のマザーボードで組めるのでコスパ良く作れます。
そうは言っても安くは無いですが… (どれもリンクはAmazonで価格は変動します)
CPU
¥23,000~
INTEL Core i5-13400¥30,000~
CPUクーラー
Core i3なら付属のリテールクーラーでもいけます。i5は性能の高い空冷クーラーに交換してもよさそうです。
Deepcool AK400(虎徹MarkⅡを超えた鉄板の空冷クーラー)
¥3000くらい
マザーボード
ASUS PRIME H610M-E D4ASUS TUF GAMING B660M-PLUS D4
¥15,000~(どちらもコスパ重視でMicro ATXサイズ)
※DDR5メモリ対応のマザーボードで選ぶと+10,000円くらい
メモリ
DDR4‐3200 8GB×2か16×2
8GB×2(16GB)
例:crucial 16GB (8GBx2)DDR4 3200
¥6,000~
※DDR5 16GB×2の場合:¥15,000~
SSD
できればM.2接続で最低500GBくらいは欲しいです。手堅いのはCrucialなど。
例:Crucial SSD P2シリーズ 500GB M.2 NVMe
¥7,000円~
電源
600W ブロンズ以上
例:玄人志向 80PLUS Bronze 650W ATX電源 KRPW-BK650W/85+
¥6,000~
ケース
マザーボードサイズに合わせたMicro ATXサイズが安いです。
Deepcool MACUBE 110が個人的におすすめ。サイドパネルがワンタッチで外せるモデルです。
ケースは¥5,000くらいでいろいろ選べます。安いものは¥3,000くらいでありますね。
OS
Windows 11
¥15,000くらい
※必要ならWiFiカード
・WiFi 6や6Eあたりでマザーボードの対応に合わせて
¥3,000~4,000。
CPU性能だけで見た場合
M2 Mac mini同等以上の性能を求めるとトータル
約¥70,000M2 Pro超えならトータル
約¥100,000
ここにGPU性能(グラボ)も加えていきます
GPU(グラフィックボード)
M2を超えるには
Geekbench 5
Metal:30,000以上
OpenCL:27000以上
M2 Proを超えるなら
Geekbench 5
Metal:53,000以上
OpenCL:45000以上
これらのスコア比較だけでは一概に言えないのですが…
MSI GeForce GTX 1660 SUPERが無難に良いかな。
¥30,000~
M2 Proを超えてゲーミングPCに仕立てるなら…
GeForce RTX 3060以上で組みたいところ。
¥50,000~
トータル金額
ということで、M2 Mac miniと同性能以上を目指すとトータル…
・予算10万円~
参考スペック:Intel Core i3 13100、メモリDDR4 16GB、ストレージ M.2 SSD 500GB、グラボ GTX 1660 SUPER
M2 Proを超えるならば…
・予算15万円~
参考スペック:Intel Core i5 13400、メモリDDR4 16GB、ストレージ M.2 SSD 500GB~、グラボ RTX 3060
M2 Mac miniの最小構成の価格では自作Windows PCで対抗するのはかなり厳しいです。
型落ちのCPUを用いた構成などでもスペック的には上回れるかもしれません。(i5 12400などもバランスが良い)
M2 Proのスペックはかなり高いですが、15万円くらいで一応のカタログスペックは超えれそうです。
前回は第10世代のCore i5を組んでM1 Macを超えることに成功?したのですが、今回は実機を組むところまではしません。
別の例:ミニPC
ミニPCだと最近名前をよく聞く「MINISFORUM」さんの最新機種で比較しましょう。(新機種出しすぎてついていけませんが)
MINISFORUM Venus Series UM690
CPU:Ryzen 9 6900HX メモリ:DDR5 32GB ストレージ:512GB~1TB
専用グラフィックボードが無く、内臓GPUになるためグラフィック性能が落ちます。
価格はセットで12万円~
MINISFORUM HX99G
CPU:AMD Ryzen 9 6900HX メモリ:DDR5 32GB ストレージ:512GB~1TB。
dGPU:Radeon RX 6600M(GDDR6 8GB)
HX99GはGPUも別で積んでいて、スペック的にはかなり強いですね。
価格はCPU、メモリなどセットで約16万円~
CPU性能比較
M2 | M2 Pro | Ryzen 9 6900HX |
|
---|---|---|---|
Geekbench 5シングル | 約1,900 | 約1,900 | 約1,600 |
Geekbench 5マルチ | 約9,000 | 約12,000 | 約10,000 |
CineBench R23シングル | 約1,700 | 約1,650 | 約1,650 |
CineBench R23マルチ | 約8,600 | 約14,800 | 約14,500 |
GPU性能比較
M2 | M2 Pro | Radeon 680M |
Radeon RX 6600M |
|
---|---|---|---|---|
Geekbench 5 Metal | 約30000 | 約53000 | 約4800 | |
Geekbench 5 OpenCL | 約27,000 | 約45,000 | 約63700 |
※Radeon 680MはRyzen 9 6900HXの内臓GPU
Ryzen 9 6900HXのスペックはCPUベンチマークで比べるとM2 Proと同レベルで、HX99Gに積まれているRadeon RX6600はOpenCL比較でM2 Proを上回ります。
ただ、価格的にもそれほど大差がないので良い勝負をしているといった感じです。比較的拡張性があるのがWindowsミニPCのメリットの一つですね。
・MINISFORUM Venus Series UM690
結論
最小構成のM2 Mac miniの84,800円は相当安いです。
※Windowsで自作する場合はほとんどがゲーム用途の場合が多いので、クリエイター路線のMacとは単純に比べられないですけどね。
単純にスペックだけで比較してM2 Mac miniを上回るためには、Windows側は一から組むと大体10万円はかかります。
ただMac miniの最小構成はメモリ8GBで256GBのSSDなのでちょっと物足りない感はあります。
これを増量するとそれぞれ+28,000円アップし、メモリ16GB ストレージ512GBで140,800円になるのでWindows PCとの価格差は無くなります。
M2 Pro Mac miniの最小構成(メモリ16GB ストレージ512GB)18万4800円も安い。
同じスペックをWindowsで求めると最低15万円くらいで可能ですが、M2 Pro Mac miniのコンパクトさやデザイン性などは代えがたいものです。
M2/M2 Pro Mac miniまとめ
■クリエイター向けのハイコスパマシン
最小構成のM2 Mac miniは小さいサイズで高いパフォーマンスを発揮する傑作です。プログラムやデザイン、動画編集などを軽くこなせるマシン。
M2 Pro Mac miniは、あらゆるタスクをサクサクとこなせるモデルなので、仕事としてデザインや写真、動画編集を行う人にもばっちりおすすめできます。
・Apple M2チップ搭載 Mac mini(Amazon)
・Apple M2 Proチップ搭載 Mac mini(Amazon)
Amazonでは細かなカスタマイズができませんが、ポイントが結構付くのでお得な場合が多いですね。(Apple製品はどこでも価格は同じ)
Windowsの自作PCまとめ
■自作は趣味とゲーム用途が良い
自作PCは趣味性が高くて、ゲームをメインで考えるならWindows一択になります。
そうなると今回のようなパーツ選びではなく、グラボ中心の構成になるでしょう。RTX3060、3060Ti、3070、もっと上か。
それ以外では、すでにケースや電源は揃っていて中身だけのアップデートなら安く済む場合があるのはメリットですね。
ただし、パーツごとには保証はあっても、組んでいてミスったらそのまま損失になります。
トラブルが起きた場合には自分で解決することが必要です。完全自作は1台目にはおすすめできません。せめてBTOで購入しましょう。
ゲーム用途や趣味として、またPCの知識の向上のために自作するのは良いですね。ミニPCも性能は上がっていて、選択肢に入ってきますね。
ということでM2 Mac miniと自作Windows PCの戦いを謎に行ってみました。
グラフィック性能などの比較が単純にできない部分もあり、誤った見解になっている部分もあると思うので参考程度にお願いいたします。
追記:M3チップとの比較
その後、新登場したM3チップとの比較を行ってみました。Ryzen 5000シリーズを使ってみました。