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今さらRyzen 5 5600GとB550でPCを組む【Apple M3チップとの勝負とRyzen 8000Gシリーズとの比較】

Ryzen 5 5600GとB550M Pro

久しぶりにコスパ重視の自作PCを組みました。といってもCPUとマザーボードを交換しただけです。

ついでに恒例のApple M3チップとの対決も行っています。(Mシリーズとのスペック上の戦い 過去作:VS M2チップVS M1チップ

今さらのRyzen 5 5600G+B550マザーボード

Ryzen5 5600GとASlock B550M Pro

執筆時点のRyzen最新世代は7000番台(Zen4)で性能は大幅に向上していますが、AM5対応の最新CPUやマザーボード、新規格のDDR5メモリはまだまだ価格が高いです。

なので今回は、予算3万円以下でコスパ追求のCPUとマザーボードを選んでみました。ほかのパーツは流用しています。

  • ‎AMD Ryzen 5 5600G(Zen 3世代・GPU機能あり・実売17,000円程度)
  • ASRock B550M Pro4 (5000シリーズは要BIOS確認・実売12,000円程度)

B550は5600Gにとっては若干のオーバースペックで使えない機能もあるのですが、購入時の価格的にセット購入でお得だったので選びました。

実際は「ASUS A520 M-E」(実売8,000円程度)あたりでも十分なので、使い方と購入タイミング次第といったところ。

<その他>
メモリ DDR4 3200 16GB、ストレージ NVMe SSD 256GB、電源 550W ブロンズ、ケースZALMAN製の構成でトータル50,000円未満(グラボは別途)

Ryzen 5 5600Gが良い(人気な)理由

Ryzen 5 5600G

性能も十分でコスパが高い

Ryzen 5 5600Gは6コア12スレッドでマルチタスク処理が得意なので、一般的な作業は非常に快適でありつつ、価格は購入時で16,000円くらいとコストパフォーマンスは高めです。

グラフィック機能付き(APU)

Ryzen Gシリーズは、プロセッサー内に統合されたグラフィックスコア(Radeon Graphics)を搭載しています。

これにより、グラフィックボードを別途購入しなくても、一般的なグラフィックスタスクや軽めのゲームを実行できます。

※5600Gの「Radeon Graphics」はGT1030またはRX550と同等レベルのグラフィック性能

初心者にも優しい

自作初心者にとってもグラフィック機能搭載なのは利点で、最小構成(マザーボード・CPU・メモリ・ストレージ・電源)でテストでき、トラブルシューティングが容易です。

ほかのRyzen 5 5500や5600、5600Xなどではグラボが必須になり、簡易的な動作チェックが難しいです。(慣れれば大したことではないですが)

CPUの発熱もほどほどで、付属のCPUクーラーでも問題なく冷える点もGoodです。

弱点はキャッシュの少なさとPCIe4.0への非対応

Ryzen 5 5600Gの弱点としては、L3キャッシュが無印Ryzen 5 5600などの半分しかなく、PCIe4.0ではなく3.0なためゲーミング性能などに影響が出ます。

特にゲーミング用途でハイスペックなグラボを積む場合にはRyzen 5 5600XやRyzen 7 5700などを選ぶのがいいでしょう。

また、高速なPCIe4.0対応のSSDを使う場合にも同様にRyzen 5 5600やRyzen 7 5700などを選ぶ必要があります。

マザーボードとセットで安い

結論として、Ryzen 5 5600Gはグラボなしでの運用が可能な多くの人にとって扱いやすくて価格も安いバランス型のCPUといえます

Ryzen 5 5600Gはソフマップでマザーボードとのセット購入で、別々で買うよりも5,000円以上安くなっていたりします。

ソフマップ CPU+マザーボードセット一覧icon
マザーボード選びの注意点

AMDの500番台マザーボードはRyzen 3000シリーズは確実に対応していますが、5000シリーズや5000Gシリーズ対応はBIOS確認が必要です。

今回B550M Pro4は最新BIOS(3.20)が入っていて問題なかったです。(5000G対応=1.80以降)

最悪のケースはBIOSアップデートのためだけに旧世代のCPUを追加で買うか、店舗でアップデート(有料)してもらう必要があったりします。

また、5000GシリーズはPCIe3.0まで対応なので、B550(PCIe4.0対応)でなくA520マザーボードが見合っているかもです。

AsRock B550M Pro4と低価格で売れ筋のASUS PRIME A520M-Eのスペックを比較してみました。

ASRock B550M Pro4 ASUS PRIME A520M-E
チップセット AMD B550 AMD A520
フォームファクター MicroATX(244×244 mm) MicroATX (226×221 mm)
メモリ 4×DDR4(最大128GB) 2×DDR4(最大64GB)
グラフィック出力 HDMI・DP・D-Sub HDMI・D-Sub・DVI‐D
PCIE ×16 2(PCIe 4.0・PCIe 3.0) 1(PCIe 3.0)
PCIE ×1 1(PCIe 3.0) 2(PCIe 3.0)
SATA 6 4
M.2 2+1(PCIe Gen4×4
(PCIe Gen3×2 & SATA3)
(Wi-Fi Key E)
1(PCIe Gen3×4)
USB3.2 Gen2 10Gb/s Rear×2 (Type A+C) Rear×1(Type A)
USB3.0 Front×4・Rear×4 Front×2・Rear×4
USB2.0 Front×2・Rear×2 Front×4・Rear×2

このほかにAsRock B550Mでは以下のような追加機能もあります。

【サウンド機能】7.1 CH HD Audio(Realtek ALC1200 Audio Codec) Nahimic Audio
【RGB】4ピン×2・3ピン×2(POLYCHROME RGB)

ただ、Ryzen 5 5600G/7 5700Gに合わせるならPCIe 3.0への対応でいいので、価格が4,000円も安いA520マザーボードで十分に感じますね。

実際に組んでみた

以前の構成からのアップデートです。これまで第8世代Intel構成で、事務作業には十分なスペックがありました。

  • CPU:Intel Core i3-8100→AMD Ryzen 5 5600G
  • マザーボード:ASUS TUFGaming Z390M Pro→ASLock B550M Pro4
  • メモリ:シリコンパワー DDR4-3200 16GB(流用)
  • ストレージ:シリコンパワー 256GB NVMe SSD(流用)
  • グラフィックボード:MSI GTX 1060 6GB(流用)
  • 電源:Antec 550W ブロンズ(流用)
  • ケース:ZALMAN Z3 Iceberg(流用)

CPUとマザーボードのみの交換で他は流用したので、コストは低いです。(セット価格で25,000円未満でした)

ちなみに、すべてを新品で揃えても5万円くらいで済ませられます。(グラフィックボード抜き)

マザーボードにCPUを置く

Ryzen CPUをマザーボードに取り付けます。Ryzenの文字が横を向くのが特徴です。(取付は相当端折っています、詳しくはいろいろな方のわかりやすい動画が出ています)

CPUクーラー(AK400)も装着

クーラーはDeepcoolのAK400を利用しています。定番の空冷クーラーですね。

Windows 11で旧PCからライセンスを移行しました。クリーンインストール後に「トラブルシューティング」で移行させるPCを選びます。

アップグレード後の変化

起動速度

起動速度は25秒→15秒へと高速化しました。マザーボードメーカーなどによっても速度は変化しますが、明らかに早くなりましたね。

ちなみに、Windowsの高速スタートアップはOFFで、マザーボード側のファストブートをONにしています。

処理速度

ベンチマークテストの結果から言えば、CPU性能では2~3倍ほどになっています。

Intel Core i3 8100は事務用途では全く不満は無かったです。ただ、重めの画像処理や動画のエンコードなどには時間がかかっていました。

Ryzen 5 5600Gの場合、CPU性能が上がってあらゆる動作が機敏になりました。PCでの作業が多いなら予算内でできるだけハイスペックを求めるのは合理的に感じました。

グラフィック性能もなかなか高い(Intel内臓グラフィックの2~3倍くらいの性能)ためグラフィックス処理を行う作業もそれなりに快適になります。

もちろん、外付けのグラボ(dGPU)があればより速い訳ですが、普段使いや軽い作業には必要十分なスペックですね。

拡張性

マザーボードが新しくなったとはいえ、低価格帯なのでそこまでの変化はなかったです。

ASLock B550M Pro4は背面にUSB3.2 Gen2(10Gb/s)のType-AとType-Cポートがあり、WiFiカードも搭載できます。

他にもRGBとARGB端子(Polychrome RGB)が2つづつ備わっていたり、マイクロATXにしては多機能です。

PCIe 3.0影響

Ryzen 5 5600GはPCIe 3.0の対応となり、現在主流のPCIe 4.0を使えません。3.0と4.0で転送速度は2倍も違います。

これの影響を受けるのがまず、NVMe SSDで、PCIe 3.0では最大3500MB/s程度で頭打ちになります。PCIe 4.0では7000MB/sくらいが上限。

とはいえSATA接続のSSD=500MB/sでも十分に高速で、一般用途ではNVMe接続と比べて体感できるかは難しいレベルです。そこから2倍速いと言われても…という感じです。

もちろん、大量のデータ転送を頻繁に行うならPCIe 4.0以上に対応したCPUとマザーボードで揃えておくのが間違いないです。(大容量ゲームや動画ファイルなど)

次に影響が出るのがGPU、グラフィックボードです。

ただ、いろいろなベンチマークや実際のゲーム等での影響を検証してくださっている方々のデータを見ると「そこまで影響は無い」という結論が多いです。

PCIe 4.0対応グラボをPCIe3.0に刺しても、ほんの数%の差しか生まれないことがほとんど。(実行するタイトルやソフトなどで変わりますが)

今度ハイエンドのグラボを積む必要が生じたなら、それに見合うCPUにアップグレードする方が優先でしょう。

5600Gに合わせるグラボは「GeForce RTX 3060 Ti」「Radeon RX 6700 XT」くらいまでがCPU側のボトルネックにならないギリギリのようです。

M3 Macとの勝負

恒例のMシリーズチップとの対決です。最新のM3搭載機はMacBook ProとiMacですね。

上位チップであるM3 ProやMaxもありますが、明らかに値段が異なるので、ベーシックなM1~M3チップとの比較をします。

Mシリーズチップの性能は下記サイトなどのデータを参照しています。Ryzen 5 5600Gはすべて実測です。(スコアは参考程度でお願いします)

・CPU Monkey:https://www.cpu-monkey.com/ja/
・Geekbench:https://browser.geekbench.com/

CPU性能

Cinebench R23

Cinebench R23 グラフ

Cinebench R23は、CPUのレンダリング性能を図り最大30分までのストレステストも行えます。各OSに対応しているのもポイントです。

純粋なCPU性能を図るCINEBENCH R23ではマルチ性能こそM3と互角ですが、シングル性能はM3が圧倒的でした。

デスクトップ版Ryzen 5(2021年発売)でも追いつけない性能はさすがです。

Geekbench 6 CPU性能

Geekbench 6 グラフ

Geekbench 6では、ビデオ会議ストリームの背景ぼかしや、写真から不要なオブジェクトの自動削除、テキストの分析、処理、変換(スクリプト言語使用)など実際の作業のテストが行われます。

Geekbench 6でのCPU性能はシングル・マルチどちらを取ってもM3チップが3割くらい上でした。

Geekbench上でのスペックはRyzen 5 5600GはM1チップと近い性能を発揮している感じですね。

Geekbench 6 GPU性能(OpenCL)

Geekbench 6 Open CL グラフ

GPU性能を測るのは少々難しく、今回はOpenCLを計測してGeekbenchにて他データと比較してみました。

OpenCLとは、Open Computing Languageを略した言葉で、CUDAと同じように並列処理を行うためのプラットフォームで、ほぼすべてのCPU/GPUに対応します。

OpenCLの結果は、M1チップに若干及ばないくらいのGPU性能といったところ。

Apple Mシリーズチップはどれも性能が高く、M3チップは特にグラフィック性能が高くて3D制作や動画編集、エンコードなどでサクサク動く事でしょう。

トータルで見るとRyzen 5 5600Gの総合的な性能はApple M1チップと同程度というレベルでした。(※実際の動作はいろいろ異なるのでちょっとした参考程度です)

次世代APU Ryzen 5 8500/8600G・Ryzen 7 8700Gとの比較

Ryzen 5000Gシリーズの後継である、AM5対応のAPU Ryzen 8000Gシリーズが発売されました。(2024年2月)

日本での価格はR5 8500G=約30,000円、R5 8600G=約40,000円、R7 8700G=約58,000円からです。(※発売当初はどうしても高いです)

これらはRDNA 3アーキテクチャのGPU「Radeon 700Mシリーズ」を搭載しているAPUです。

AMD B650/X670チップセットのマザーボードとの組み合わせと、場合によりBIOSの更新が必要になるとのこと。

日本の大手メディアや海外YouTuberの検証などから、CPU単体での性能はRyzen 5 5600GやRyzen 7 5700Gと比べて2~3割のスペックアップしている様子。

肝心のグラフィック性能については5600Gと8600G、5700Gと8700Gで比較すると、2倍かそれ以上の性能になっています。

GeekBench 5 OpenCLでM3チップと近い性能を発揮するのがRyzen 5 8600G(約25000ポイント)とRyzen 7 8700G(約30000ポイント)でした

8000Gシリーズのコスパはまだ良くない

海外情報では「Intel Core i3 12100F+RX6600」の組み合わせで(約5万円)Ryzen 7 8700Gの約2倍のグラフィック性能を発揮するとのこと。(※ゲーミング性能の比較)

また、AM5対応マザーボードや高速なDDR5メモリ(DDR4は使えない)を揃える必要もあるため、旧型AM4のRyzenと比べるとかなりの出費になります。

最新の製品であるため、まだコスト面で競争力は弱いです。もう少し時間をおいて価格が落ちてくるときに狙うのでもいい気がします。

Ryzen 5000シリーズ+AM4マザーボードならセットで3万円を切る場合も多いため、コスパ重視ならまだまだAM4世代は強いですね。

Ryzen 5 5600G と B550M Pro4まとめ

価格の下がったRyzen 5 5600Gは高いコスパを誇っています。統合グラフィック性能も比較的高くて用途は広いです。

B550や、より安価なA520マザーでも十分に性能を発揮できるので、安価に高速な事務作業用PCを組むのにまだまだ現役なCPUでした。

もっと低価格かつグラボを積む前提なら「Ryzen 5 5500+A520」予算を上げてガッツリゲーミング仕様なら「Ryzen 5 5600X+B550」あたりを狙うのがいいですね。

今回の「Ryzen 5 5600G+B550/A520」のセットはグラボ無しでの一般用途~軽いゲームや動画編集などにぴったりなチョイスです。

AMD Ryzen 5 5600G(Amazonリンク)
ASRock AMD B550M Pro4(Amazonリンク)
ASUS AMD PRIME A520M-E(Amazonリンク)

マザーボードとセットで購入することでさらに5,000円以上安かったりするので、新規で組む場合にもおすすめできます。(AM4対応マザーならアップデートで載せれるのも魅力)

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