今さら第3世代 iPad Pro 11インチ(M1)レビュー【iPadOSの気になる点とAir(M2)との比較】
2024年5月に新型で圧倒的性能のiPad Pro(M4)が発売されましたが、そんな中で中古の2021年発売のiPad Pro(M1)モデルを購入レビューします。
型落ちではありますが、実際のところ使用感はまだまだ非常に高速です。スペックや価格の近い新型iPad Air(M2)とも比較してみたりもしました。
第3世代 iPad Pro 11インチ スペック詳細
- 発売日|2021年5月
- 画面解像度|2388×1668px
- リフレッシュレート|120Hz
- 画面サイズ|11インチ
- 無線LAN|Wi-Fi 6(802.11ax)
- CPU|Apple M1
- メモリ|8GB・16GB(ストレージ1TB以上)
- ストレージ|128GB・256GB・512GB・1TB・2TB
- 外付けキーボード|Magic Keyboard・Smart Keyboard
- 対応スタイラスペン|Apple Pencil 第2世代
私が購入したのはストレージ128GB(メモリ8GB)モデルで、イオシスの中古(Cランク)です。大体8万円程度でした。
中古品に抵抗がなければ、iPadは中古品を選ぶのも結構ありだと思いますね。特にイオシスは結構厳しめな評価をしていてCランクでも比較的綺麗でした。
実際の使用感
今でもM1チップの性能は抜群に高い
M1チップ搭載のiPadを使って動画や電子書籍などのコンテンツの閲覧や、単一アプリを動かすのは圧倒的に快適です。
M1チップはMacBookに2020年に搭載されて、省電力かつ高性能であったためこの界隈では話題になりました。
ノートPCとしても非常に高い性能を引き出せるM1チップをiPad(タブレット端末)に載せてきたのも驚きでした。
ただ、正直なところ無印iPad(第9世代など)でも全く不満の無い動作なので、一般的な作業などについてはMシリーズチップは過剰な性能とも言えます。
M1以上のチップを搭載したiPadは、エンタメ目的以外でも使って作業の効率をアップしたり、今後長く使っていきたい場合に選択肢に入るモデルですね。
ステージマネージャーと外部ディスプレイ出力
外部ディスプレイに接続して、キーボードとマウス(トラックパッド)を繋ぎステージマネージャーを使うと、まるでPCのような動作をします。
ステージマネージャーの機能自体はなんとも言えない使い勝手ですが、慣れればまぁ使えるレベルです。
外部ディスプレイと合わせて最大8つのアプリを同時に開くことが可能で、各アプリのウィンドウサイズもまあまあ自由に変更出来ます。
ちなみに、ステージマネージャー等が登場してから1年以上が経過したのですが、外部ディスプレイでの動作は結構不具合があるのも事実です…
正直この部分は今後のOSアップデートに期待しています。
※外部ディスプレイ出力はMシリーズチップ搭載iPadだけが対応です。
MacBookとiPad、iPhoneなどの連携は強力
例えば、iCloudで写真やメモ、連絡先などの同期、Handoff機能では作業中のデータやウェブサイトを端末間で簡単に切り替えることができます。
AirDropも便利でデバイス同士でファイルや写真、動画を結構高速な共有できます。
「Sidecar」を用いてiPadをMacBookのサブディスプレイとして利用したり「ユニバーサルコントロール」でMacBookからiPadを操作することも可能です。
※連係機能とApple製デバイスの必要条件:https://support.apple.com/ja-jp/108046(Apple公式HP)
USB-C Thunderbolt等対応
iPad(Mシリーズチップ搭載)のUSB-C端子は高速なデータ通信が可能となっています。
- iPad Pro:Thunderbolt 3/USB 4(最大40Gb/s)
- iPad Air: USB 3(最大10Gb/s)
- 【参考】iPad第9世代:USB 2.0相当(最大480Mb/s)
iPad ProのUSB-C端子はThunderbolt 3に対応しているため、高速なSSDなどの外部ストレージドライブを接続すれば、快適なデータ転送が可能です。
もちろん、iPadをUSB-Cドックに接続して外部モニター出力やUSBメモリなどの接続も可能です。
サイドパーティーアイテムも多い
安くて軽いケース
結局行きつくのが、安くて軽くて薄い、伝統的なスタイルのケースです。1,500円前後でAmazonで買いました。
JEDirectのケースは過去何度もいろいろなiPad用を購入していますが、耐久性も高くておすすめですね。
■JEDirect製 iPad用軽量ケース
格安キーボードケースは意外と使わなくなってしまった
折角のハイスペックタブレットなのでキーボードケースも買ったのですが、若干重かったり、使い勝手が微妙で使わなくなりました。(純正MagicKeyboadなら違っていたかも)
サイズ感的に11インチというのが絶妙で、14インチくらいのノートPCを使っているとiPadの出番が無くなります。
ほんとにサッとメール返信したり、画像を弄ったりするのにはちょうど良いですし、持ち運びもしやすいのは間違いないです。
ただ「気になる点」でも触れますが、OSの問題もあって現状では11インチのiPadだとオールインワンにするには厳しいなと感じました。
iPad(Mシリーズチップ搭載モデル)の気になる点
iPad(Mシリーズチップ搭載モデル)で使える「ステージマネージャー」や外部ディスプレイでのマルチタスクはまだぎこちないです。
たとえば、ウィンドウサイズの変更が地味に面倒だったり、同じアプリ(Safariなど)を複数ウィンドウで開けなかったり、直感的ではない動きがあったりします。
ファイル管理などにまだまだ改善の余地があります。ファイルアプリでプレビューが見れなかったり、バックグラウンドでのファイル移行が上手くいかなかったり…
このような細々した部分が積み重なった結果、MacやWindowsと同じ作業をしてもiPadでは作業効率が低下してしまいます。
確かに、iPadOSは「タブレット」というジャンルにおいてタッチ操作やペン入力などを重視した結果、今のUIとなっています。
しかし、Macと同じCPUを載せて大幅に性能を進化させたiPadを考えるとどうでしょうか。
厳しい言い方をすると「ペン入力ができる大きなiPhone」というのが現状のiPadOSで、圧倒的な性能を活かせる場面が限られます。
2024年WWDCで発表されたiPadOS 18の新機能
今後のiPad OSの進化が、WWDC2024にて発表されました。以下のような機能が追加されるようです。
- 高機能 電卓アプリ・メモ
- スマートスクリプト
- アイコンやメニューのカスタマイズ
- Mシリーズチップで対応の「Apple Intelligence」
メインのアップデートは上記ですが、他にも細々と改良されています。
新たに計算メモ機能を搭載した電卓は、ユーザーが数式を入力または手書きで記述すると、瞬時に答えを表示できます。
スマートスクリプトによってApple Pencil の手書きメモを滑らかで柔軟にし、一段と読みやすくします。
ホーム画面のアプリアイコンやウィジットのカスタマイズに加えてコントロールセンターもカスタマイズ可能になります。
AI機能の強化は便利そうですが、日本語対応にはまだ時間がかかりそうです。また、Appleの「MacとiPadの統合等はしない」方針は変わらないでしょう。
作業向きなのは「MacBook」
MacBookはiPadよりも高機能で柔軟なソフトウェアが利用でき、より高度なクリエイティブ作業に向いています。
複数のUSB・Thunderboltポートが搭載されており、外部デバイスやモニターとの親和性も高いです。
それで、結局AppleはiPadですべてを行えるOSアップデートは行わず、外部モニターや外部デバイスを多用する高度な作業はMacで行うのを推奨しているようです。
個人的にも、iPadかMacBookどちらかを最初に選ぶならMacBookです。「WWDC2024」でもやはり方針は変わっていないようなので、結論は変わらずでした。
もちろん、これは利用用途の問題でもあって、iPadはコンテンツを素早くインプットしたり、デザイン用途などでApple Pencilを使った高度な作業も可能です。
このようなジャンルではMacBookよりもiPadの方がずっと使いやすく、特にペン入力・描画についてはiPadでしかできません。
要するに「MacBookとiPadは使い分けてくださいね」とAppleは今もこれまでも言っているわけです。
13インチ iPad ProやAirについて
ディスプレイが13インチのiPadはノートPCと同クラスのサイズ感となり、より据え置きで使う場面が多いでしょう。
とはいえ、中身のOSは変わらないので、11インチモデルと同様にiPadOSが抱える制限はあります。
それでも、13インチというディスプレイサイズはマルチタスクの扱いやすさや、コンテンツの迫力が向上、ペン入力のしやすさに貢献します。
11インチよりも13インチモデルの方が価格も高いため、やはり使用する目的が明確であることが重要だと感じます。
伏兵「Arm版Windows」
WindowsもArm版を本格的に運用し始め、AppleのMシリーズチップの優位性は失われていく可能性があります。
また、Windowsはクラムシェルタイプから2in1モデルまで様々な形態で製品化されています。
つまり、Windowsの多様性と互換性の高さと、高性能な新CPU(Snapdragon Xシリーズ)さらにARM版Windowsがミックスされます。
それらを備えた新モデルが各社から2024年6月に発売され、WindowsとMacBookの戦いはより激しくなっていくわけですね。
もちろん今後、Arm版Windowsの互換性問題などはしばらく見守る必要もあります。
新型iPad Air(M2)と旧式iPad Pro(M1/M2)の比較
2024年5月に突如発表された新型iPad Pro(M4)とiPad Air(M2)。
iPad Air(M2)の方は順当なスペックアップで、ストレージの最低容量も128GBからとなり、コスパ的にはねらい目な製品になっています。
今回はコスパの良いAir(M2)と、Pro(M1/M2)での比較をしてみます。※Pro(M2)とPro(M1)はほとんどチップのみの違いとなります。
Air(M2)・Pro(M1/M2)との比較【11インチ】
iPad Air(M2) | iPad Pro(M1/M2) | |
---|---|---|
チップ | M2 | M1/M2 |
画面サイズ | 10.86インチ | 11インチ |
最大輝度 | 500ニト | 600ニト |
ディスプレイ機能 | ー | ProMotionテクノロジー |
リアカメラ | 12MP広角カメラ | 12MP広角+10MP超広角カメラ |
フロントカメラ | 横向き | 縦向き |
USB | 10Gbps※恐らく | 40Gbps Thunderbolt 3/USB 4 |
スピーカー | 2スピーカー | 4スピーカー |
Wi-Fi | Wi-Fi 6E | Wi-Fi 6/6E |
Apple Pencil | Apple Pencil Pro(ホバー機能あり) | Apple Pencil(第2世代) |
カラーバリエーション | 4色 | 2色 |
価格 | ¥98,800~ | Pro(M1)¥80,000~※ Pro(M2)¥100,000~※ |
※サイズ・重量・バッテリー・容量:誤差(0.2mmだけAirが分厚く約4gほどAirが軽い)
※Apple Pencil USB-Cは両モデル対応
※価格:Pro
M1/M2は中古相場
新型Air(M2)はCPU性能が高くほんの少し軽量ですが、基本的には前作Air(M1)を引き継いでいます。新しいApple Pencil Pro対応でカメラ位置が変更されているのも特徴ですね。
旧型Pro(M1/M2)はProMotionディスプレイ搭載で、Airの倍の4スピーカーだったり、USB-CポートがThunderbolt 3に対応している点などが優れています。
13(12.9)インチモデル同士で比較すると、新型Air(M2)の方が約65gほど軽量になっていて、価格も128,800円~と結構バランスがいいです。
※ちなみにiPad Pro(M4)は、M2よりも1.5~2倍の性能のM4チップを搭載し、ディスプレイも性能が上がって先代よりも20g程度軽量化されて価格もアップ(¥166,800~)の化け物です。
個人的なおすすめiPad
新品で性能重視で選ぶならiPad Air(M2)
新品で性能重視のモデルなら新型iPad Air(M2)でOKです。正直、Pro(M4)モデルは性能が高すぎます。
性能的にも価格的にも1番バランスがいいモデルがAir(M2)に感じますね。
中古で性能重視ならiPad Pro(M1/M2)
中古購入がOKなら、ProMotionテクノロジー(120Hz)と4スピーカー搭載、Thunderbolt 3対応といった点でiPad Pro(M1)がおすすめです。
また、iPad Pro(M2)も相対的に安くなっていればアリな選択肢です。(※チップ性能としてM1とM2の性能差は20%程度で、軽い作業では体感わからないレベル)
特にProMotionテクノロジーについては、ブラウジングなどでも差を感じたり、Apple Pencilの追従も結構違います。
中古購入するならイオシスがおすすめ
私も実際にイオシスでM1 iPad Proを購入しました。十分な性能と、バランスの良い価格でイオシスなら保証期間もあって安心ですね。
iPad Pro(M4)について
最新のiPad Pro(M4)については、現状でプロ用途としてiPadを利用されている方だけが真価を発揮できるモデルだと感じます。
しかもストレージが1TB以上でCPUとメモリがスペックアップすることもあり、ハイスペックモデルは11インチで約27万円以上となります。
ついでにMagicKeyboardやApplePencilも新調する必要が生じます。スペック盛りしてアクセサリーも全部揃えると40万円以上になったりします。すごい。
エンタメ用などのiPadは無印で十分
実際、Mシリーズチップ搭載のiPadは性能があまりにも高く、なにかしらクリエイティブな作業や勉強用途などでがっつり使う場合など以外にはオーバースペックです。
動画視聴や電子書籍の閲覧などの軽い用途をメインで使う場合には無印のiPad第10世代程度で必要十分です。
iPad第10世代:58,800円前後
iPad第9世代:49,800円前後
まとめ
正直、iPadの性能については現状のiPadOSを動かすならエントリーモデルでも十分すぎると言えます。
そのため、M1チップ以上を搭載したモデルについては、プロ用途(動画編集や写真加工、音楽制作など)で使う場合に真価を発揮すると言えますね。
また、学生さんなどが大量のPDF等を読み込んで素早く閲覧したり、作業効率を重視したい場面でもMシリーズチップの性能が生きてきます。
個人的にはMシリーズチップ搭載モデルでしか実現できない機能にも期待はしているのですが、まだしばらくはiPadはiPadのままのようです。
複雑なラインナップになっているiPad選びの参考にもなれば嬉しいです。