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DELL Precision 3630を24時間運用PCにカスタマイズ【プロBTOビルダー作】

DELL Precision 24時間運用仕様

今回は毎度お世話になっている先輩からの記事となります。わざわざ記事を書き上げてくださったので、原文+注釈でお送りします。(非常にマニアックな内容となっております)

みなさんこんにちは。たまーにこちらのブログサイトでひょっこり登場する、通称「BTO先輩」です。

今回は、管理人さんが以前(※2022年5月頃)に悔しい思いをした、メーカーブランドコンピュータのカスタマイズに、わたしが一肌脱いで代理リベンジをやってみよう!という寄稿記事になります。

HP Prodesk 600 G1 SFFで格安Windows 10マシンを作る【ケース交換は失敗】 - plz-reference-blog

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Windows10であと3年間持てば良いという方のための低価格十分スペックなマシンを作ります。その後にグラボ搭載、ケースと電源交換に挑みましたが致命的な展開に…。

24時間運用向けパソコン

話の始まりは、とある友人から…

24時間運用向けのパソコンが欲しい

という相談(もとい依頼)を受けたコトです。

さすがにこの条件だけでは詳細を詰められないと思い「用途は何?」「ノンストップである必要性は? 」「扱うデータ量は?」…こちらから問いかけました。

すると驚くべきことに、具体的な返事はなーんにも無かったのでした…。友人のコンピュータ知識レベルは「お察し」で対応することになったのです。

そこで大いに悩んだ末、以下の方針を固めたのでした。

メーカーブランド(←ここ大事)の中古サーバーをベースにしてカスタマイズしちゃえば何とかなるのでは?

考慮したのは下記の点です。

  • 庶民感覚で許容範囲内の予算に抑える
  • エラー訂正機能のあるメモリが使える(※使うとは言ってない。ある落とし穴について後述します)
  • ストレージはシステム領域とデータ領域とで物理的に分ける
  • Windows11に正式対応している
  • ニプロンの電源ユニットを搭載可能→在庫切れのため後日対応予定

参考までに、新品パーツでこのようなシステムを作ると、試算額は30万円程になりました。贅沢な仕様にすれば100万円コースだって余裕で可能。もちろん今回はやりませんが。

さて、先に「サーバー」と言いましたが実際は「ワークステーション」をベースマシンとして採用しました。ヤフオクにてゲット。モデルは…

「DELL Precision 3630」

「プレシジョン」と読みます。ググっていただくと分かりますが、出てくる情報がとっても少ない\(^ ^)/。

カスタマイズ前がこちら

カスタマイズ前のPC

主な仕様は…

・CPU Xeon E-2174G
・メモリ 32GB(8GB*4枚)
・SSD 256GB
・GPU Quadro P4000
・Windows 10 Pro for Workstationsのライセンス有り

と言った感じで、性能はイイ線いってるベースマシンが用意できました。約7万円。

さてここに「24時間運用」要素として冷却能力と電源の強化・データ専用SSDの追加を行います。以下詳細。

冷却能力強化

このモデルについての調査を進めた結果、CPUの発熱量が多い=TDPが高い場合のみに採用される冷却強化パーツが存在することが分かりました。

これを使えば長期間運用に役立つはず!しかし、こうも思いました…「旧機種の専用オプションパーツ、手に入るのか…?」→意地で見つけました!

強化型CPUクーラーは…

新品 DELL XPS 8910 8920 8930 T3630 CPUクーラー 修理パーツ

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VRヒートシンクは…

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購入可能です。

作業の様子がこちら

CPUクーラーの比較

ノーマルとの比較。存在感が違いますね~。期待大です。

先にVRヒートシンクを載せ…

後からクーラーベースを載せます。

クーラーベースを載せた

完成写真は…撮り忘れました。ごめんちゃい。興味のある方はDELLのHPでどうぞ。

ちなみに使用したCPUグリスは… Arctic Silver 5です。相変わらず愛用中。

データ専用SSD

NAS向けのモデルを用意しました。

セカンドSSDとしてセット。

Western Digital RED SA500 1TB

Western Digital ウエスタンデジタル WD Red SATA SSD 内蔵 1TB 2.5インチ (読取り最大 560MB/s 書込み最大 530MB/s) NAS メーカー保証5年 WDS100T1R0A-EC SA500 【国内正規取扱代理店】

ここまではほぼ理想通り。しかし、まさか「メモリ」でこんなことが…。

△エラー訂正機能付きメモリにしたかった…

実は、わたしは落札時に一つ思い違いをしていたのでした…。

「CPUがXeonでチップセットがC246(※どちらもECCメモリに対応している)だから当然メモリもECCタイプが載ってるはずだよねー」と。←そんなコトありませんでしたorz。

実にノーマルなメモリが搭載されていたのです…。

よくあるメモリ4枚

あっ、動作・認識はちゃんとしているのでそこは誤解なさいませんよう。とはいえ、32GB分のECC Unbufferedメモリを別途用意すべきなのか…?たとえばこういうの。

https://www.ark-pc.co.jp/i/11705304/

後で依頼主と相談ですね、これは。

途中経過

完成したPC

主にSATAケーブルと電源ケーブルを引き直しました。

電源ユニットはニプロンの方で在庫切れのため、再入荷予定の4月以降に変更します。700Wタイプを搭載予定です。あとハーネスを少々追加します。

余談

Windowsは10から11に無事アップグレードできました。

コンシューマーCPUの第8世代と同時期の製品だったので予想通りでした。これで2025年10月以降も問題なし。

コイン電池を調べたら残量がなんと0ボルト!? ここまで消耗したのには中々お目にかかれないかも。

もちろん新品に交換しました。発売時期(2018-2019年)からすると消耗が早い気がします。なんでだろう?


パナソニック リチウム電池 コイン型 3V 2個入 CR-2032/2P (2個セット)

電源ユニット等交換(2023/5/15 追記)

5月になり、ニプロンのサイトを確認すると、未だに700W製品は「納期問い合わせ」状態。友人に「570Wの電源なら用意できるけど、どお?」と聞いてみたらあっさり「よろしく」とのお返事。

メンテナンス性をアップ

「この強化型CPUクーラー、CPUの4ピン電源コネクタを隠しちゃって邪魔だなぁ」と思っていました。そこで「延長ケーブル」を使って工夫します。

12V用延長ケーブルを使用

使ったのはこちら。「AINEX ATX12V用電源延長ケーブル 30cm PX-007B」

これでメイン電源コネクタ(24ピン)のあたりで付け外しが可能になりました。

700Wは諦め570W電源へと換装

純正電源は460W仕様です。それゆえこの換装でも+110W分の余裕が生まれます。用意したのがこちら。

  • HPCSA-570P-X2S 2世代パソコン電源
  • WH-M2422-500(メイン 24pin)
  • WH-VG208-500(12V 4pin、PCI-E 6pin)
  • WH-PS810-100(S-ATA×7、ペリフェラル×1)
  • その他

今回換装された570Wのニプロン製電源は出力ハーネス類が別売りとなっています。ニプロン公式HP

前回、紹介だけだった「アイネックス Slimline SATA電源変換セットコネクタ SLS-3005SA」も用意しました。

メモリ等も変更した内部

メモリもさりげなくECCタイプに変更。16GB×2枚仕様になってすっきりしました。

全体像がこちら。

完成したDELL Precision 3630カスタマイズVer

まだストレージを増設できる余裕がありますね。この筐体サイズでこれほどの拡張性があるのは魅力ですね(※どこかのメーカーさん、似たような作りの汎用ケースを作ってくれないかなぁ?願望ダダ漏れ)。

今回もハーネスの結束にはマジックタイを採用。友人の好みで青色にしました(※黒・白・青の中から選択)。

背面はこちら。

DELL Precision 3630の背面完成

グラフィックボード以外、別個体バージョンとほとんど変わり映えしませんね…。別個体での電源交換方法の詳細は下記事で解説されています。

DELL Precision 3630の電源交換【純正ではなくニプロン製へ】 - plz-reference-blog

DELL Precision 3630の電源交換【純正ではなくニプロン製へ】 - plz-reference-blog

メーカー製PCの電源交換を行ってくださった先輩からの記事となります。DELL Precision 3630の電源を交換していく流れを細かく解説してくださっています。

というわけで。今度こそ予定していたカスタマイズを全て終えることができました。いやぁ~、達成感ヒシヒシ。

ここまでお付き合いいただいた読者のみなさまと管理人さん、ありがとうございました!

解説編(超詳細)

ここから「解説編」として何をどうリベンジしたのか解説します。

*参考:メーカーPC改造の過去記事について
HP Prodeskの改造でCPU、メモリ、SSDまでの交換は可能でした。しかし、それ以上の電源周りの変更などは失敗に終わったのでした。

説明口調の文面となりますが、ちゃんと同一人物が執筆しています。ご了承ください。

管理人さんの結論:

メーカー製PCにおいて流用しやすいのは「CPU」「メモリ」「ハードディスク・SSD」まで

=その通り。異論なし。

筐体・マザーボード・CPUクーラー・電源は難しい

=これまたその通り。管理人さんが挑んだのは「SFF」=「スモール フォーム ファクター」

文字通り「小さい」ことをウリにしたモデル。

この手のPCは「様々な工夫を凝らして」=「独自規格満載で」コンパクト化を図っているので、なおさらパーツの流用は難しい。

筐体・マザーボードについて

筆者の持論:「筐体とマザーボードは一対で考える」

マザーボードには規格がある。ATXやBTX、Mini-ITX等と呼ばれるものだ。固定用ネジ位置はほぼこれで決まる。

しかしメーカーパソコンには「独自規格」という壁が高ーく聳え立っている。一筋縄ではいかないのだ。

今回選択したPrecisionのマザーボードは、サイズで言えばmicroATXである。

HP Prodesk 600 G1 SFFも確認したところ、同じくmicroATXではあった。

ネジ位置も変わらない。では、それは「この2つは簡単に入れ替え可能」ということだろうか?「否」である。

メーカーにしてみれば、筐体とマザーボードの組み合わせパターンはほぼ一択。汎用性は考える必要がない。(これが必要なのは自作PCやBTOの領域である)

なのでメーカーパソコンの背面パネル部は筐体と一体のことが多く、自作PCのようなIOパネルの交換はほぼできないのだ。

Precisionの場合、一見すると背面パネル部が付け外しができると期待してしまうが騙されてはいけない。

あれは「ただのシール」であり、できるのは「付け外し」ではなく「剥がすだけ」である。

こうすることで全体のパーツ点数を減らし、製造コストを下げているのだろう。涙ぐましい営業努力である。こちらは別の意味で涙を流すが…。

Precisionの背面
DELL公式ホームページより

公式HPの紹介写真を並べてみた。ご覧の通り、コネクタの位置関係や数が異なるのだ。

そしてそこは簡単に入れ替えたりはできない。筐体と一体だからだ。

世代が違えばたとえ同シリーズであっても流用は難しい。まして他社製品では期待すべくもない…。

これらのマザーボードを市販の自作用シャーシに単に載せるだけなら、背面パネルの事情に目をつむれば比較的ラクにできよう。

しかしメーカー製の筐体に別のマザーボードを載せるには金属加工が必要だ。正確にIOパネルサイズの長方形を開ける腕前も。

Youtubeで再生数を狙うのでない限り、面倒なうえ割に合わないだろう。

管理人さんが別のマザーボードとケースを用意していたのはある意味正解ではあったが、ご本人の言う「何をしたかったのか、もはや分からない」泥沼にハマる要因にもなってしまった。

そこで当方は「マザーボードと筐体はそのまま使えるベースマシンを用意する」という方針で動いたのだ。教訓に感謝である。

CPUクーラー

管理人さんが遭遇した「ネジ位置まで特殊」という例は自分も初めて知り、勉強になった。ありがとうございます。

24時間運用が前提なので、CPUクーラーの強化は必須と判断した。

Precisionのクーラーネジ位置は「ごく普通」。しかし真上に電源ユニットがあるので高さ制限が厳しい。

一般流通品の中から選ぶのなら、高さがちゃんと収まるかよく確認すべきだろう。

今回自分が採った作戦は「同型機の上位版用パーツを探す」というものだ。何せ「同型」である。互換性の問題はほぼ無い。安心です。

換装をした感想をここで述べよう。実はOSセットアップ時にはまだノーマルファンだったのだが、負荷に応じて回転数が上がり、うるさく感じていた。

しかし強化クーラーにしてからはファンの音が小さくなり、冷却能力に余裕があるためか回転数も上がりにくくなり、静音効果があったのだ。

依頼主からも「静かでいい」との評価。良かった。

電源ユニット

ハッキリ言おう。「厄介極まる」と。メーカー独自規格のメインコネクタは自分の知るだけでも…

・6pin(DELL)

・8pin(DELL)

・10pin(Lenovo)

・小型の24pin(HP)

と実に多様だ。管理人さんのように市販の変換ハーネスを使ってもうまくいかないリスクだってある。

それでも「24時間運用ならニプロンの電源に換装したい」と心に決めていた。でも失敗は避けたい…。そこで事前によく調査したのだ。ポイントは以下の通り。

コネクタ形状は「ふつう」か?

→公式HPやヤフオクの紹介写真を徹底分析。結果、CPUがノーマル4pin。メインがノーマル24pin。OKだ。

筐体に収まるか?

→Precisionは組み合わせるグラフィックボードに応じて電源を注文時にカスタマイズ可能!これすなわち、複数種類の電源が搭載できるということ。

「汎用性あり」と判断。ネジ位置も汎用ATX電源と一致。イケるでしょ!

なお、実機が届いて確認したところ、奥行き190mmまで入りそうだった。

ファンガードやネジの頭が飛び出ていないデザインの電源が無難であろう。ニプロンならピッタリ。(参考までに)

https://www.nipron.co.jp/product_detail/index.cgi?p=20620401

おまけ

データ専用ストレージも載せたかったので、搭載スペースがちゃんとあることを確認した。個体によってはゲージがハードディスク用のみだったりするので気をつけよう。

結論

総括すると…

「自分がカスタマイズしたい部分がどうなっているか、事前によく調べよう!」

メーカーのHPはもちろん、お目当てのモデルのオークション出品写真も参考になる。

口調を戻します。いかがだったでしょうか?自分が管理人さんの経験を糧にできたように、この記事もまた、どなたかの参考になれば幸いです。

追記:(管理人)
プロBTOの先輩が書いただけあり、圧倒的にマニアックな記事ですね。各パーツのURLまですべて載せていただいたので、ほぼそのまま使わせていただきました。毎度のことながら感謝です。
解説部分も興味深く、メーカーPCの改造についての総括となっています。わたしも大変勉強になりました。今後の制作の糧になります。

<BTO先輩の過去の作例もご参考まで>

年間数百台を組むプロのBTOビルダーが趣味でデスクトップPCを作成した結果【芸術的】 - plz-reference-blog

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自作PC作成は難しいイメージ…今回はプロとして長年BTOパソコンを組み続けてきた友人が、自作PCの組み方を教えてくれましたのでご紹介します。裏技的技法がいくつも登場してきますので是非参考にされてください。

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